
■新聞会:先生が現在、研究している内容について教えてくださいますか。
□中村亨先生(以下中村、敬称略):丁度タイムリーなことにノーベル物理学賞を受賞された小柴先生と近い分野で、宇宙から来る放射線(宇宙線)を観測して、粒子自体の性質について調べたり、それを利用して宇宙がどのようになっているかを研究する、などということをやっています。最近は電波を観測して、地球物理学(地震の関係のこと)も研究し始めています。
■新聞会:そのような研究をされるようになったきっかけは何でしょうか。
□中村:宇宙線の研究に必要な実験装置は山に作られるのですが、学生時代スキー部に入っていて、スキー合宿のときに、その合宿場所の隣に宇宙線観測所があったんですね。丁度、スキー部のオフの期間に手伝いに来てくれないかという声がかかり、もともと興味があったのですが、手伝っているうちにますます興味を持ったのが一番最初のきっかけですね。
■新聞会:では、先生は学生時代、どのように過ごされましたか。
□中村:高知大の学生の多くと同じだと思います。三回生くらいまで割りと勉強より部活の方を優先していました。四回生になって研究室に配属されたときに、勉強をしなければという気になり、勉強のできる友人に「教授にはいまさら聞けない」というようなことも含めて色々と教わりながら学びました。
■新聞会:学生に言っておきたいことを一言お願いします。
□中村:何かひとつ自分の得意なもの、「このことに関してやったらほかの人と勝負しても劣らない、又は対等に勝負ができる」ということを見つけてください。すべての能力が優れていたらよいのだけれどそれはなかなか難しいので何かひとつでも、これだけはというものを持っていると、それをきっかけにして自分に自信が出てきて色々なことに挑戦できると思います。しかし人より優れたものを持つことは難しいことで、多くの人が興味を持ったものを同じように競争して、そこから飛び抜けるということは非常に難しいことだと思います。
■新聞会:自分の得意なものを見つけるにはどんなことが必要であるとお考えですか。
□中村:皆とは違った経験をするということ。皆と同じ経験をしていたら同じように勝負しないといけないけれど、自分の周りとは少し違う体験をするとそれがきっかけになって、自信がついたり、自分の本当に得意なものが見えてくると思います。例えば、海外に留学する等。
■新聞会:先生は学生時代に何か、特別な経験をされたのですか。
□中村:大学院生時代にインドに行って、地下二、三千b位の所に実験装置を造ってそこで観測をするというのやったんで、それが変わった体験です。その頃は英語も解らずに、病気にもなったりして馴染むまでが大変でした。はじめ、日本人が来たということで 「この人は何ができるんだろう」と珍しがられていましたが、コンピュータを使ったデータ取得や解析などで、相手の解らないところを教えるということをしたら「けっこうやるやないか!」と、相手の対応が変わってきました。そんなわけで、何かひとつ自分に「これなら勝負できる」というものがあるとよい、というのはそのときの経験からも学んだことです。進学するにも、就職するにも、自分の世界を広げていくのにも、「自分はこのことならできる」というものを持つことは重要であると思います。
■新聞会:今日はどうもありがとううございました。
(インタビュアー 川口さやか・山戸絵瑠夢)